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2020年03月02週
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(前週よりのつづき)
2、ほぼ、同じ内容ですが「処理済み汚染水」との言い方、表現もまぎらわしいのです。
確かに、セシウム除去設備では処理できない汚染水を、多核種除去設備(ALPSと略称)で処理しますが、結局多核種は除去・浄化できずに残ってしまっています。なのに、その事実をつまびらかにせずに、昨年の8月くらいまでは、ほぼ「薄めて、海洋放出」が決まりかけていました。なのに、なのに、その一連の事実は何一つ変わっていないのに、「海洋放出に利点」「汚染水を浄化処理した後」「放射性物質トリチウムが残留する水」と、またしても、問題は「トリチウム」になって、事が進められています。この「汚染水」の問題について、やはり東電に確認しましたが、回答は「東電としては何も決まっていない」、再処理についても答えは「行っていない」でした。2月1日の新聞記事は、今の状況で「環境中に放出すれば、風評被害が生じる恐れがある」としていますが、再処理をしないまま放出したとすれば、被害がないとは断言できないのですから、風評ではなく、いくばくかの事実を根拠にした立派な「被害」のです。他方、東電はと言えば、こうした一連の流れのすべての当事者として事実はすべて知っていますが、だんまりを決め込んでいますから、当面鉾先が向けられることはないと読んでいるように見えます。

 東電福島の事故で、住民が避難することになり、3つの区域指定の基準になったのは、放射線量でした。その避難区域が解除されるとしたら、避難となった理由、放射線量が住民が戻って生活する場合に「問題にならない」、要するに放射線量が事故前の水準に戻っていることが条件でした。しかし、このことは守られず、別のもう一つの基準が設定され、順次避難解除が実施されてきました。そうは言っても、全町避難のように、生活の手段のすべてが奪われて避難した人たちにとって、元の町に戻るのはたやすいことではありません。元の町に、なんとか住居は取り戻せたとしても、生活は成り立ちません。そこに①仕事、収入を得る手立てが得られること、②日常生活の諸条件が整っていること――医療施設、食べ物などが入手できる商店・商業施設、学校など教育施設、文化施設――が整っていてはじめて、生活と言い得るはずです。3,4、月には、全町避難となっていた双葉町、大熊町、一部が帰還困難区域となっていた富岡町の一部地域が避難解除になります。その一部地域だけが「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」に指定されるのです。「住めなくなって9年近くが経つ家並みが広がる。第一原発から北西約4キロにある福島県双葉町のJR常磐線、双葉町駅前。14日(3月)の全線再開に向けて再建された駅舎近くで、舗装工事が急ピッチで進んでいた」「駅とその周辺約5.6平方キロメートルは、放射線量が高い、『帰還困難区域』だが、人が住めるように除染する『特定復興再生拠点区域』に指定さている。ただ4日(3月)に解除されるのは、拠点区域の0.3%にとどまる」「国は原発事故後、13年8月まで福島県内の11市町村の避難区域を再編し、帰還の見通しがたたない地域を帰還困難区域と定めた。全町民約7000人が町外に避難した双葉町では、全体の96%がこの区域となった」「状況が変わったのは14年8月。帰還困難区域が大変を占める双葉町と大熊町について、地元の要望を受けた国が復興構想を公表。16年8月にはこの一部で避難指示を解除する方針を示し、除染を進めてきた」「双葉町に住民登録している人のうち、4割近い2130人は県外に暮らす」「昨秋、町が住民に実施した調査では、回答があった1399世帯のうち『戻らない』と決めたが63.8%に上った」(3月3日、朝日新聞)。
双葉町にせよ大熊町にせよ、人がそこで生活してきたのは、前掲のような生活の為の条件が、十全ではなかったにせよ、整っていたからです。そのすべてが根こそぎ奪われることになったのは、東電福島の事故によって降り注いだ放射性物質です。言われている復興拠点整備や帰還は、住民が避難することになる、何よりの前提であった放射線量のことは棚に上げ「地元の要望」で、避難が解除されます。住めなくなって、戻りたくても戻れなくなった、最大の要因を抜きにして、実施されているのが、避難解除、帰還です。「状況は変わった」と言いますが、言わば変わらない状況を無視し、全く別の判断基準で進められているに過ぎません。戻ることによって避けられないのは住民の被曝です。と言うか、東電福島の事故と、その事故の過小評価ないし、事実を隠すことによって起こっているのは、東電福島から広い範囲で起こっている住民の被曝です。たとえば、2011、2012年に子どもたちを被曝から守る為の「集団疎開裁判」で争われていた、福島地裁郡山支部の周辺は、その当時高い放射線量を示していました。8年経った現在、裁判所周辺の植え込みの放射線量は、0.8μ㏜/h(6m㏜/年)を超えていました。隣接する麓山公園、T幼稚園などは見るからに徹底除染されていますが、施設の隅っこなどは0.4μ㏜/hを記録しています。これが、人が普通に暮らしている、東電福島の事故後の町です。これもまた強引に進められているのが、3月に、特定復興生成拠点に指定され、帰還困難区域が解除される双葉町や大熊町です。復興庁が行った、「住民意向調査」によれば、避難が解除された区域であっても「既に戻っている」のは、浪江6.5%、葛尾28.4%、大熊1.8%となっています。区域の除染完了及び帰還の安全を宣言しても、多くの住民は戻らないのです。そこで生活するということは、前掲の条件はもちろん、長い間そこで生きて生活してきた人々の歴史、つちかわれた広い人間のつながりがあってはじめて成り立ちます。東電福島の事故は、そのすべてをたち切り、そこが住めなくなり、戻ることができない町にしてしまいました。それが降り注いだ放射性物質の現実です。避難及び避難区域が設定された時、住民に約束されたのは、放射性物質の除染です。この毒は水に流すことも、中和することもできません。放射性物質の除染に、途方もない費用が投入されてきました。「原発事故の除染費用は、福島を中心に計6県で2020年度までに計3兆4千億円。残る帰還困難区域の除染にいくらかかるのかは『試算していない』(環境省)」(3月3日、朝日新聞)。どんな機械的、化学的手段にもなじまないのが、放射性物質であり、言われている除染です。ほぼすべてが、人間の手作業で拭う、ないしは削り取り、その毒を別の場所に移動するのが除染です。しかし放射能の毒を移動するのは難しく、そのままの毒を受け入れることになったのが、この度の「『帰還困難区域』だが、人が住めるように除染する『特定復興再生拠点』に指定されている」双葉町、大熊町です。他の、どの都道府県の市町村も受け入れない、拭う、ないし削り取った放射能の毒を、双葉町、大熊町が受け入れるということは、町の復興とはそもそもが矛盾しています。当然、いくつかの調査結果が示す通り「戻らない」人は多くなります。
 なのに、そんな町、村での、復興の「夢」が語られたりしています。「双葉町中野の復興再生拠点にビジネスホテルを建設するアルムシステム(本社・北海道)と町は19日、企業立地に関する協定を結んだ」「帰結式は同日、いわき市の町役場いわき事務所で行われ、伊沢史朗町長と清信祐司社長が協定書に署名した」「伊沢町長は『共に協力することで必ず町の復興を成し遂げていきたい』」「清信社長は『祖先が北海道に夢を抱いたように、私も夢を抱いて町で活躍し、まちづくりに協力していきたい』」(2月20日、福島民報)。住民の63.8%が「戻らないと決めた」としている町、「既に戻っている」が6.5%の浪江町、1.8%が大熊町であるように、東電福島のたとえば双葉町に、ビジネスホテルが建設されるとして、どんなビジネスが、復興の夢があり得ると言うのだろうか。

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